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『コピーライターの発想』
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1984年に出版された、
名コピーライター、土屋耕一さんの著書。

タイトル通り、発想法にフォーカスした内容。

コピーライターがいかにして良いコピーを生み出すかについて、
いろいろな角度から軽妙洒脱な文体で語られている。

話はコピーにとどまらず、広告制作の場全体に及んでいて、
クリエイティブの現場にいる人間なら誰しも頷いてしまうような
「あるあるネタ」のオンパレード。

しかもそれが全然安直な感じがしないのは、
やはり土屋さんならではの鋭い視点と、
まるで落語を聞いているかのような、
リズム感があって心地よい、名人芸のような文章によるものだろう。

さもご自分が凡人であるかのように見せて、
あちこちに話を脱線させながら、
モノ作りの本質に鋭く迫っているところが、
土屋さんの巧さであり、やさしさであり、
つまり人間としての魅力だと思う。

「たった一振りのバットで逆転の本塁打をかっとばしてみせる、
 などという打者の姿勢が、基本的には邪道であるのと同じように、
 また、たった一発のアッパーカットで相手をマットに沈めてしまおうとする、
 そんな大ぶりな攻撃法が、これまたボクシングにおいて邪道とされているのと同じで、
 ひらめきという技法もまた、発想法における邪道の構えではないのかなあ、
 なんて思うことがある。(中略)
 
 それは積立貯金のやり方に似ている。コツコツである。地道である。(中略)

 でも、それしかないんだよ、きっと。
 人の見てないところで、玉のような汗を流して、
 でも、人の前に出たときは、なにか、軽い手さばきで苦もなく一丁出来上がり、
 のような顔をして見せる。ははは、なんて笑いながら。(中略)

 結局、それしかないんだ、と思う。自分が大天才じゃない限りはね。」




by tbm18363 | 2009-10-16 01:56 | 書籍

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