FC2ブログ
佐野研二郎さんによるアイデア発想法&時間管理術、
『今日から始める思考のダイエット』

佐野ファンなので、発売日に購入。

『思考のダイエット』というタイトルから、ある程度予想していたが、
デザイン書のコーナーではなく、自己啓発書のコーナーに置いてあった。
しかも平積み!

この表紙、スミ一色だけど、とても目立つ。
そして、ポップだけど、品があって美しい。

文字組みとかアイコンの感じが
どことなく佐藤雅彦さんぽくて(と言っては失礼か)、
とても好みだ。

そういえば、『佐藤可士和の超整理術』も『グッドデザインカンパニーの仕事』も
『デザインのデザイン』も白地にスミ一色だった。

どれも勿論パクリなんかではなく、それぞれがベストと思った結果が、
白地にスミ一色というのが面白い。
(そういえば、大貫さんは白地に白だったなぁ)

内容は、これまで佐野さんがいろいろなところで語ってきたことの
集大成(+進化バージョン)といった感じ。

機能するデザインにするにはどうすれば良いのかについて、
いろいろな角度から語られていて、
デザイン業界にとどまらず応用できるスキルとして纏められている。

その中でも、とりわけ僕が“これぞ佐野さん"と思ったのは、
「美大生と近所のおばちゃん」の話。

自分の作ったデザインが、
デザインマニアの美大生と、デザイン音痴の近所のおばちゃん、
どちらにも受け入れられるものでなければいけないということ。

誰もがパッと見て分かる、明快なコミュニケーションが成り立っていながら、
玄人をも唸らせる細部のこだわりを併せ持っているデザイン。

それこそ佐野さんのデザインが持つ最大の魅力だと思う。
(偉そうにスミマセン)

佐野さんは、よくADC賞を獲るよりオリコン1位の方がすごい!と言っているが、
僕もそう思う。(ADC賞を獲っていない自分には、言う資格はないけれど)

ADC賞などのデザイン賞は、どうしても新しい発想や、ビジュアル、
すぐれたコンセプトなどが評価される。

しかし、世の中に機能している、影響を及ぼしているという点では、
一番売れているものや、誰もが知っているもの、どこでも目にするものの方が、
実はすごいことなんじゃないかと思う。

そういう意味で、佐野さん、佐藤卓さん、そして大貫卓也さんは、
その2つを両立させている、ものすごいデザイナーだと思う。

昨日、家に帰ってテレビを点けたら、
偶然佐野さんが出ていた。

「24channel」という、Kinki kids・堂本剛の番組で、
番組の中吊り広告を作ろうという企画だった。

その中で、象徴的なシーンがあった。

堂本剛と佐野さんがぶらり途中下車の旅よろしく、
江ノ島あたりの駅で降り、そこで10代の女の子達と会話を交わすのだが、
その女の子達は当然、剛のことは知っている。目がキラキラしている。
隣にいる佐野さんのことは全く知らない。というか眼中に入っていない。

しかし、そこで堂本剛が佐野さんのことを、
「この人、LISMOのキャラクターとかデザインしてる人」と紹介するや、
「えーっ!すごーい!!」と、一気に女の子達の佐野さんを見る目が変わった。
そして、「私のケータイ、LISMO!」と言って、佐野さんに画面を見せたのだ。

佐野さんはニコニコと笑っていたが、
おそらく心の中でガッツポーズをしていたのではないだろうか。

自分のことは知らなくても、LISMOのことは当たり前のように知っていて、
自分のデザインが彼女の日常の一部となっている。

これぞデザイナー冥利に尽きるのではないだろうか。


しかし、これだけすごいのに、お高くとまらず、
どこまでも気さくな人柄でありつづける佐野研二郎さんは、
本当にすばらしい。

デザインって、結局は人間なんだろうな。

たぶん。


sanobook