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2011.02.01 食えるアート
村上隆の『芸術闘争論』が面白くて一気に読破してしまい、
前作の『芸術起業論』も読み始めた。

村上隆の作品展を見に行ったのは10年近く前だろうか。
正直なぜこれが1億円で売れるのか分からなかった。
(アニメやオタク文化が海外でウケてるって事?ぐらいに思っていた)

でも本書を読んで納得した。
自分には分かるわけがなかった。
恐らくほとんどの人は分かっていないのではないだろうか。

ポイントとなるのはコンテクスト(文脈)とルール。

西欧アートの文脈を完全に理解していないと、
村上隆の作品がなぜ1億で売れるのか分からないし、
西欧アートのルールを理解していないと、
いくら独創的な作品であってもアート界から相手にされない。

もっとも彼の唱える「スーパーフラット」は、
その辺の壁を壊してしまおうという考え方でもあるのだろうが。
(この辺はあまり自信がないので、深く言及するのは避けます)

アートの世界で食べてゆくには、
西欧アート界のルールを完全に理解し、
その上で、ひたすら自己に向き合い、
地道に鍛練を積み重ねる。

村上隆曰く、
“アーティストはスポーツ選手と同じ”なのだ。

現実的で生々しい話の連続なので、嫌いな人は嫌いだろうけど、
僕はこれを読んで、今までよく分からなかった村上隆が好きになった。

むしろそういった現実に向き合わず、
“アートは自由だ”というおめでたい価値観を植え付ける
美大や美術系専門学校こそ、理想論をふりかざすだけの空虚な存在に感じられた。

デザインでも同じ事は言える。

どのデザイン書を読んでも、そこにあるのは、
完成された美しいデザインとその制作理論ばかりで、
要は結果論の集まりだ。

どうやったらこのように雑誌に掲載される作品が作れるのか。
どうすればデザイナーが人並み以上に食べていけるのかという大命題に、
真正面から向き合ったものはない。

(自分が知っている限り、『独立独歩』という本がそれに迫っている。
日高英輝・古平正義・水野学・秋山具義・青木克憲等々、名だたるデザイナーたちの
独立当初の仕事受注にまつわる話が書かれている)

アートでもデザインでも、
リッチになんかならなくてもいいやとか、
自分の好きな作品をコツコツ創って、
人並みに暮らして行ければいいと思っている人もいるだろうが、
自分はそうは思わない。

もしそう思うとしたら、
それは何の心配もなく食べていけるようになった時だ。

そういったタイプの人間には
『芸術闘争論』と『芸術起業論』には、
核心を突いたヒントが隠されていると思う。





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