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「PLAY」刊行記念 菊地敦己トークイベント
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菊地敦己さんの初の作品集「PLAY」刊行記念の
トークイベントへ。

日曜の夜にも関わらず、会場は満員。

インタビュアーの紫牟田伸子さんとともに
壇上に上がった菊地さんは少し疲れた様子で、
開口一番「今日、調子悪いんですよ」と言った。

おいおい、500円払って見に来てる客に対してそれはないだろう、
と内心腹を立てたが、きっとこのイベントが有料だと知らないんだろう。
まぁ、いいや。

インタビュアーの紫牟田さんは、この本の中で
3日間にわたって菊地さんにインタビューをし、
それ以前にもワークショップなどを共にしてきた間柄らしいのだが、
妙に馴れ馴れしい口調が、これまた個人的に腹立たしい。
でも、まぁいいや。

心を落ち着け、雑念を振り払ってトーク内容に集中。
するとやはり、菊地さんの話は非常に面白い。

「フォルム」を追求したいという話の中で、
文字についての話になった。

菊地さんは、文字に関しては「しくみ」を作っているのだと言った。
しくみから漏れてくる違和感としては面白いが、
一文字一文字が美しかったり、見たことない感じになっているかというと、
そうではない、と。

すぐ思い出したのは、青森県立美術館の書体。

あの書体は、モノスペースで、文字の要素はすべて直線。
直線は全て同じ太さで、曲がる角度は45度か90度。
そういう規則の下に作られている。
だから文字もスペースもギクシャクしていて、
そこがとても魅力的なのだ。

その魅力をきちんと言語化すると、
先の菊地さんのコメントになる。

次に、最近ペインティングをしているという話。

ペインティングの面白さは、自分の感覚からアウトプットされたものが、
ダイレクトに定着されることだと言う。

Macでデザインする場合、自分の手でマウスを動かしキーを叩き、
それが画面上にグラフィックデータとして形成され、
それをプリントアウトなり印刷するなりして初めて定着される。

その“中間"がないことが、ペインティングの魅力だという。

普通、絵の具で絵を描いてて、そこまで考えるだろうか?

“何か楽しい、気持ちいい"
“やっぱり手を動かすっていいね"とか、その程度ではなかろうか。

菊地さんは、何で楽しいのか、何で気持ちいいのか、
そこを完璧に言語化して把握している。

物事をひとつひとつ深く考え、
言葉として把握しているから、
たとえばデザインの表現として、かわいかったり、
ゆるかったりするものを作っても、
そこにはとてつもない強度が宿っている。

そこが、その辺のほんわかしただけのデザインとは違う、
菊地デザインの美しさ、強さだと思う。

トークの後半、菊地さんは、
“一億総思考停止"だと嘆いていた。
みんな何も考えていないと。

“間違った考えは、まだ議論の余地があるが、
考えていないのは議論にすらならない"と。

“みんな自分の外に答えを求めようとしている"、
と言っていたが、とても身につまされた。

菊地さんの内へ内へと向かっていく思考のスタイルは、
見習わなければいけないと思った。

“自分の考えが正しいとは思わないけど、
考えることは続けている"
と言った菊地さん。
やっぱりすごくて面白い人だった。


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by tbm18363 | 2009-06-04 02:39 | 菊地敦己

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