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バタフライストロークのギャラリー、@btfにて行われていた
「スクール オブ グラフィック デザイン」展へ行ってきた。

この展示は、同名の書籍の刊行を記念して行われたもの。
前作、「スクールオブデザイン」はメンバー4人が、
とくに脈絡無く、デザインについてのツボや心得を書いていたが、
今回は、オリエン~アイデア出し~プレゼン~校正~完成に至るまで、
グラフィックデザインの制作にまつわる場面が、
4人のトークセッション形式によって、順序立てて書かれている。

展示も、本の内容に沿って、アイデアスケッチから、試作、色校正など、
普段お目にかかれないようなものまで、順序立てて並べられていた。

それはそれでとても興味深い展示だったのだが、
少し思ったのは、今回は4人の制作物が混在していたので、
もしこれをそれぞれのラフ~カンプ~色校~完成品、と並列に展示されていたら、
4人の仕事の進め方の違いなども見られて、さらに面白かったのではないだろうかという事。

それは本の内容にも当てはまることで、
やはり4者4様のスタンスがあり、
それをメンバーの潤滑油的存在である水野さんがまとめているのだが、
一つの指針としてまとめるには無理がある場面もちらほら。

もちろん、共通している部分もたくさんあって、
とくに基本的なスタンスの部分ではそうなので、
そこは、駆け出しのデザイナーや学生にはとても参考になる部分だと思うが、
その先のこだわりみたいな部分になると、良くも悪くも統一感はない。
バスケのドリームチームが、チームとしてはものすごく強いけれど、
一人一人は超個性的で、一つにまとめるのは難しいといった感じか。

あと、今回感じた問題点として、
駆け出し目線の人がいないということが挙げられる。

ここでも水野さんが、その役割を買って出て、
三人に質問をぶつけたりもしているのだが、
やはり水野さんも日本を代表するトップディレクター。
駆け出しや学生の目線になりきれない部分がある。

お笑いや、芝居でもそうだが、
舞台上で、客と同じか、もしくは客よりアホな人物を演じることで、
客が俄然食いつくということがある。

スクールオブデザイン、唯一の弱点はそこにある気がする。

以前、トークセッションで、客から質問を募集して、
それに4人が答えるという試みがあったが、
質問を読み上げた後は、4人のペースで話が進んでしまうので、
質問者とのラリーにならず、かゆいところに手が届くような質疑応答にはなりにくく、
さらに、レベルの高い4人だけに、
レベルの低い質問に対する掘り下げ具合(切実さ)が弱くなってしまう。

もし、次回そういった試みがあるなら、駆け出しのデザイナーや学生、
もしくは全く違う業界の人などを、生徒役として立てると、
より、リアルなスクールオブデザインになる気がする。


ところで、今回の書籍は前回とは異なり、ペーパーバック風の装丁で、軽く、読みやすい。
内容が教科書的なものだけに、教科書然とした雰囲気を敢えて避けたのだろうか。
(ちなみにチーフデザイナーは古平さんとのこと)
個人的には好きなテイストだし、軽くて持ちやすいのも嬉しい。
ただ、紙が粗いので、ビジュアルブックとしては前回の方が上。

内容は、本当に盛りだくさん。
グラフィックデザイン制作にまつわる、ありとあらゆる場面について
「デザインのコツ」が書かれている。

しかし、この本の一番の肝は、
最後に4人それぞれが1~2ページずつ語る、「本当のコツ」だ。

ここで、デザインに向かう「姿勢」の大切さが、
異口同音に語られている。

この5ページこそ本当のコツで、
それ以前の百数十ページは、
その上に成り立っている技術論のようなものだ。

この「オチ」を読んで、“この本を買って良かったな"と思える。

原研哉さんも「デザインのデザイン」という本を出しているように、
デザインは、Macのモニタ上で色や形をあれこれ悩む前に、
まずデザインするという行為そのものを、自分の中でどう理解し・解釈するかということが、
なによりも重要なのだ。


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古平さんと平林さん
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古平正義さんと平林奈緒美さんのサイトが
近々オープンするようだ。

どちらも今のところトップページのみだが、
古平さんのFLAMEのサイトはロックっぽく、
平林さんのPLUG-IN GRAPHICのサイトは、
ヨーロッパのデザインスタジオのよう。

すでに御二方のカラーが出ていて、
今から楽しみ。


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by tbm18363 | 2008-12-05 03:37 | SCHOOL OF DESIGN

竹尾ペーパーショウ2008
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昨年に引き続き、
丸ビルで行われた竹尾ペーパーショウへ。

招待状を持っていない人は入場1時間半待ちという
ディズニーランド並みの混雑。

ディレクションは去年と同じく、
SCHOOL OF DESIGNの方々。

丸ビル(など)のショップとコラボして、
期間中その店で買い物をすると、竹尾の紙を使って、
彼らがデザインしたノベルティーグッズがもらえるという仕組みで、
そのグッズが会場に一同に展示されている。

去年は店によってグッズが全て違ったのだが、
さすがに制作がヘビーだったのか、
今年は各店舗共通フォーマットによるステーショナリーセット。

ただ、共通フォーマットの方が、
紙同士の違いが分かり易いというメリットはあった。

一見して“コレ欲しい!"と思えるものがたくさんあったが、
いちばん面白かったのは、平林奈緒美さんデザインの
(marunouchi)HOUSEのもの。

歯の形にエンボス加工した上に、白の箔押しで歯のエナメル質を表現。
さらにその上に黒・銀・金と箔押しされた三種類が、
それぞれ虫歯・銀のかぶせ・金歯になっているというもの。

もう、紙関係ないじゃん!って感じもしなくもないが、
作品から滲み出ているこだわり感が、素晴らしかった。

その他の作品も、箔押しのオンパレードで、
プロセス4色印刷の参考にはほとんどならなかったが、
まあ、楽しかったからいいか。

by tbm18363 | 2008-04-21 02:41 | SCHOOL OF DESIGN

トークショー@青山ブックセンター
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先日に引き続き、SCHOOL OF DESIGNのメンバーによる、
竹尾ペーパーショウ2007の書籍『PAPER SHOW』の刊行を記念したトークショー、
『紙の新しいコミュニケーションとデザインの可能性』を聞きに、
青山ブックセンター本店へ。

今回、山田英二さんは欠席、
編集者の菅付雅信さんを加えた4人でのトーク。

菅付さんが加わったことで、
違った角度からの意見も聞けて、
横浜美術館塾とは趣の異なる内容となった。

身内だけでのトークセッションも深くて良いのだが、
ともすると生ぬるい賛同のし合いになる。
違う分野の人と意見をぶつけ合うことこそ、
トークセッションの魅力だと思った。

今回は“トークバトル”とまでは行かなかったものの、
紙とWEBにまつわるメディアの相違や、
クリエイティブディレクション全般の話などが、
良い意味で一般論的な切り口で語られた。

いろいろと為になる話を聞けたのだが、
個人的に一番ウケたのは、
古平さんが“PASMOのデザインってすごい中途半端だよね?”と
バッサリ切り捨てたところ。

自分も以前からそう思っていて、
去年の5月にこのブログにも書いたほどだ。

古平さん、PASMO(とsuica)のデザイン、
カッコ良く作り直してください!

っていうか、自主プレすればいいのか。
by tbm18363 | 2008-03-10 02:40 | SCHOOL OF DESIGN

2008.02.23 横浜美術館塾
横浜美術館塾
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横浜美術館で行われた「横浜美術館塾」。
SCHOOL OF DESIGN の面々(古平正義・平林奈緒美・水野学・山田英二)
による、面白くて為になる、“デザイン”を紐解くトークイベント。

今回、山田英二さんの話を聞くのは初めてだったのだが、
とても理論的で分かり易かった。

各々が過去の作品を自ら解説するくだりで、
ともすれば自らの自信作ばかりを紹介しがちなところを、
彼は5つの異なる事例を持ってきて、
“そのどれもがデザインの一側面である”ということを、
学生からプロに至る幅広い来場者に分かり易く解説していた。

そして司会進行役の水野学さん。

古平さん恒例の長い話(笑)には、いいタイミングで合いの手を入れ、
沈黙気味の平林・山田両氏には適宜話を振り、
空気が重くなってくると、自らの体験談で会場の笑いを誘うなど、
全体に気を配った進行がすばらしかった。

僕はこういったトークショーやエンターテイメントなどを観に行くと、
ソフト(内容)と同じぐらい、そのハード(構成や会場)が気になってしまう。

観客から貴重なお金と時間を取っておいて内容がつまらないものは論外だが、
ソフトが良くても、それを提供する方法や環境が悪いと
“損してるなぁ”と思ってしまう。

ライブでも、芝居でも、レストランでも、ホテルでも、飛行機でも、
そう思うことって本当に多い。

20年前、アメリカのユニバーサルスタジオに行ったとき、
あるショーを観るために席で開演を待っていたのだが、
その舞台上では開演までの間、客を退屈させないように、
サブのエンターテイナーがずっと客を楽しませていて、
それを観て“アメリカってスゴイ!”と思ってしまった。

発想の基本は“自分が客だったら”。

SCHOOL OF DESIGNの4名は、デザインだけでなく
こういったトークショーなどにおいても、
その辺りの客観性がとても優れていると思った。


最後に、今回のベストトーク。

“競合プレゼン、やる?やらない?”という話の中で平林奈緒美さんが、
“プレゼンだからと言う名目で、
 制作費が出ないのは馬鹿にしているとしか言いようがない”
と言っていたのが痛快だった。

僕もその通りだと思う。
競合プレだと、採用案件に対してのみ、
その後の実制作費用が支払われることが多いが、
アートディレクター達は、プレゼンの時点で既にあれこれ知恵を絞って
アイデアを出し、モノもほぼ完成させているのだから、
それに対する報酬が支払われないのはどう考えてもおかしい。

採用しなかったから支払わないというのは、
作らせておいて食べないハンバーグに料金を支払わないようなものだと、
彼らは冗談のように言っていたが、まさにその通りだ。

また“競合プレは断固受けない主義”の水野さんは、
“競合プレゼンは、企業側がADを信頼していないからやる訳で、
 そういう姿勢自体が疑問だし、そもそもデザインはADと企業との
 話し合いの中でベストアンサーを見つけていくことであって、
 いくつかある中から気に入った絵柄を選ぶようなことではない”
と言っていた。

これもその通りだと思う。

世の中に徐々にデザインが認知されてきたとはいえ、
まだまだ「デザイン=ただカッコイイものを作ること」だと思っている人や、
アートディレクターがどんな職業なのかよく分からない人が沢山いると思う。

僕たちの努力が足りない部分もあるが、
デザインを依頼する企業の人たちにこそ聞いて欲しいと思った、
充実のトークショーであった。
by tbm18363 | 2008-02-23 21:53 | SCHOOL OF DESIGN